水辺の花々

地球は水の惑星。私たち人間は60〜70%が水ですが、植物は80%が水でできています。植物は光合成で酸素を作るだけでなく、実や葉は動物の食べ物となり、花は虫たちに蜜を提供し、そして人間の目も楽しませてくれます。
(人がなぜ花を愛でるか・・・恐竜時代に出現した哺乳類の主食は花に来る虫だったため、という説があります−ちょっと興ざめですが・・・)
地球が誕生して早や(まだ?)46億年。27億年前に藻類などの光合成を行う生物が誕生し、長い間水中で活動していましたが、5億年前に新天地、地上に上がってきました。重力と初めて遭遇して茎や幹が育ち、花や葉をささえる立派な骨格を持つことができるようになりました。でも、最初の一歩は水辺から・・・水辺は植物にとっても故郷です。

では、渓流に足を浸しながら楽しんでください。

水芭蕉(ミズバショウ)

夏が来れば思い出す・・・「夏 の思い出」
(作詞:江間章子 作曲:中田喜直 )

中学生の頃習ったなつかしい曲です・・・。
尾瀬ヶ原の群生は有名ですが、水がきれいで冷たい山間部ならどこでも生えています。
昔、恐山でも見ました。

サトイモの仲間です。

(八王子市高尾)
 
いずれ菖蒲(アヤメ)か杜若(カキツバタ)・・・



よく似たものの例えですが、アヤメは水辺でなく、乾いた土地に生えます。
水辺に生えるのは杜若(カキツバタ)、黄菖蒲(キショウブ)、花菖蒲(ハナショウブ)、菖蒲(ショウブ)ですが、菖蒲(ショウブ)はサトイモ科できれいな花つけません。

杜若は謡曲でも謡われており、杜若の精が在原業平を偲びます。(愛知県知立市近辺が舞台)
杜若(カキツバタ)
 
(金沢市小将町 玉泉園)
黄菖蒲(キショウブ) 花菖蒲(ハナショウブ)
(世田谷区岡本 親水公園)  (世田谷区砧)

山の清流の傍には高山植物にも似た可憐な花がひっそりと咲きます。 
似ている花を並べてみましょう。
一輪草(イチリンソウ)     (八王子市高尾) 二輪草(ニリンソウ) (黒姫高原アファンの森)
九輪草という花もあります。
 
山葵(ワサビ)          (八王子市高尾) 水芥(ミズガラシ)    (黒姫高原アファンの森)
根は刺身の薬味。清流の中で育ちます。
葉がステーキの付合わせになるクレソンです。

水辺というより水の中・・・・ 

睡蓮(スイレン)
(香港中央公園)
池面にはビルの陰が・・・・。花もどこか熱帯ぽいですね。

これに比べると日本の睡蓮は楚々としています。
  
(長野県須坂市)

川や池は翡翠(カワセミ)や鷺(サギ)など水鳥たちの大食堂です。

鷺草(サギソウ)
(世田谷区松原)
 
植物が上陸したのは真水の川辺から。
陸上の花にとって海はむしろ危険地域。乾燥に強い花だけがビーチクイーンです。
 
浜昼顔(ハマヒルガオ)  (中国海南島三亜市)

浜鉈豆(ハマナタマメ)  (中国海南島三亜市)
 
浜木綿(ハマユウ)  別名:スパイダーリリー 花弁が蜘蛛の巣のように広がります。
 (中国海南島三亜市)

厳しい夏の日差しにはUV対策が必要ですが、昔、鮫によって丸裸にされた兎はこの草で快癒しました。それとも同音の「蝦蟇の油」だったのでしょうか。

             蒲(ガマ)             (世田谷区千歳台)
       
蒲の穂が風に揺れるともう夏は終わりです。

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