8月も半ばを過ぎると、高山ではもうリンドウなど秋の花たちが咲き始めます。花たちは涼しい風に乗って山道を下り、谷や沢で一服しながら、里や街へ降りてきます。そして、秋は風のシーズン。秋風、野分(台風)、つむじ風に木枯し。疫病も風に運ばれてきます。見た目にはそよそよと気持ちよさそうな風も、花撮りフォトグラファーにとっては難敵。風が止むまでじっと辛抱です。
前回紹介した春・夏の花は北日本の山が多かったので、秋は、地球の裏側も含めて西の山々の花をご紹介します。
 
  ルリトラノオ(瑠璃虎ノ尾)

 トラノオと名の付く花にはいろいろな種類がある。
ハルトラノオ(サクラソウ科)、ハナトラノオ(シソ科)、イブキトラノオ(タデ科)などと種類は多士済々であるが、花の形がいずれも円錐形または円筒形で、これを虎の尻尾に見立てたとこころから名がつけられた。
本種はオオバコ科(以前はゴマノハグサ科)に分類され、滋賀県と岐阜県の境、伊吹山山頂部にのみ自生する。

 (伊吹山山頂花畑 標高1300m)

イブキトラノオ(伊吹虎ノ尾) 
飯豊連峰で
 
伊吹山は古来より薬草の取れるところとして有名で、織田信長がポルトガル宣教師に命じて、薬草園を開かせたという話も伝わっている。「イブキ」と名の付く植物も多く、伊吹山では上記のほか、イブキノエンドウ、イブキカモジクサ、イブキジャコウソウ、イブキアザミ、イブキシモツケ、イブキトリカブトなど17種が知られている。イブキノエンドウ、イブキカモジクサはヨーロッパ原産の植物で、薬草園の存在を裏付けている。
伊吹山は琵琶湖に近いため湿潤で、また、冬は日本海からの湿った風で大量の雪が積もり、水の豊かな山である。ちなみに、世界の最高積雪記録は伊吹山の1182cmである。
  
イブキジャコウソウ(伊吹麝香草:シソ科) コイブキアザミ(小伊吹薊:キク科) 
イブキジャコウソウは日本の高山やヒマラヤでみられ、大きな群落を作る。これはエベレストの東面、チベットのカルタで見たもの。

           
コイブキアザミは伊吹山の固有種。線香花火のようだ。

(伊吹山山頂付近 標高1300m)
 

(訂正とお詫び)


左の花をイブキジャコウソウとしましたが、正しくはシソ科のクルマバナです。
花は似ていますが、葉の形が違います。
ご迷惑をかけて申し訳ございません。
イブキトリカブト

(伊吹鳥兜:
 キンポウゲ科)  


 日本には30種ほどのトリカブトが自生している。エゾトリカブトやキタダケトリカブトなど地名が付いた種のほか、カワチブス(河内附子)のように附子の名のついたものもある。狂言の演目「附子」はこのトリカブトのことで、アコニチンというアルカイド系の毒(生薬)である。

女性の不美人のことを「ブス」と称すのは、トリカブトを摂取して、顔が曲がったためという説もある。
伊吹山は石灰岩でできた山で、採掘のため西面は大きく削られ、醜い姿をさらしている。女性である山の神としては耐えられないのではなかろうか。

(伊吹山 標高1280m)

数年前、春の花を追って麓から登ったことがあるが、初秋の方が花は多い。本当は山頂の宿に泊まってゆっくり周りたかったのだが、コロナのお陰で東京から日帰となった。幸いバス便があり、短時間であったが多くの花を見ることができた。だが、来てビックリ!すごい人出だ。そして車道脇は駐車スペースもないほどカメラの放列。関西中の超望遠レンズが全部集まったようだ。聞くと、イヌワシを狙っているという。今や花よりも鳥。ある専門ツアー会社も花の旅を打ち切ったという。コロナ禍に加え、花の旅はますます難しくなってゆく。
右巻き?
左巻き?
フジテンニンソウ(富士天人草:シソ科)群落(鹿が食べない)  トモエソウ(巴草:オトギリソウ科)  
 
9月に入ると途端に山や高原は静かになる。しかしその分、バス便が打ち切られ、キャンプ場は閉鎖され旅は不便になる。公共交通でしか移動できない私にはなおさらである。
5年前の9月始め、妙高高原から雨飾山までテントを担いで歩いた。
 
← アケボノソウ(曙草)

花びらに2つ並ぶ黄色い点(蜜腺)の上の黒い斑点を夜明け前の星に見立てたところから「曙」の名がついた。科名のリンドウ(竜胆)といい、属名のセンブリ(千振)といいシャレた名がついている。

  サワギキョウ(沢桔梗) →
  
キキョウの仲間であるが、花弁は5裂する。先に雄蕊が成熟し、花粉を飛ばした後、雌しべの柱頭が伸びる雄性先熟で、近親交配を避けている。いわば植物のトランスジェンダーだ。有毒植物でもある。

  いずれも (妙高高原いもり池 標高740m) 
 
  ワレモコウ
 (吾亦紅: バラ科)

これがバラの仲間かと疑いたくなるような花である。小さい萼(花弁ではなく、正確には萼裂片-植物学の先生からご指摘いただいたきました)がいくつもくっつきあっている。名前の由来は定かでないが、源氏物語にも出てくる古い名だ。
昔、「吾亦恋」という漫画があったが、漢字を当てるならこのほうがロマンチックかな?

(笹ヶ峰キャンプ場 標高1300m 背景は火打山)
 
     
フジアザミは、噴火や雪崩などで荒れ地となった土壌でいち早く根を下ろし、土砂流出を食い止める。ヤナギラン(柳蘭)と同様、植生回復の先兵となるパイオニア植物だ。


ヤナギラン(笹ヶ峰ダム)
ミョウコウアザミ(妙高薊)
(笹ヶ峰キャンプ場)
シロバナフジアザミ(白花富士薊)
(乙見山峠の東:標高1400m)
   
   

国立科学博物館の門田名誉研究員によれば、日本のアザミは150種を超すという(世界では250種以上)。1属としては最大の種を持つものの一つであろう。地域変異率が高く、一つの山でしか見られない種も多い。ミョウコウアザミは新潟県西部頚城山群にしかないが、一方、フジアザミは本州の東北~中部にかけて広く分布する。

昭和の名曲に「あざみの歌」(横井弘作詞・八洲秀章作曲)がある。復員してきた横井氏が霧ヶ峰八島高原でみたアザミに自分の思い人を重ねて、作詞したといわれている。昭和24年NHKラジオで放送され、国民的ヒットとなった。
♪山には山の愁いあり、海には海の悲しみが・・・
ベビーブーム世代の人なら一度は口ずさんだこともあるのでは?さて、その思い人のイメージはどちらのアザミであったろうか。 

  アザミの近縁種   オヤマボクチ(雄山火口:キク科) →
   昔、火打石で葉の裏に生える茸毛に火をつけたことから火口。
根はヤマゴボウとして漬物になる。
          (乙見山峠の西:標高1500m)

雨飾山へは沢をいくつか超えて登る。渡渉点で休憩を取り、沢水で喉を潤す。花もまた目を潤してくれる。

ジャコウソウ
(麝香草:シソ科)
名前通りの香りはない。
オニシオガマ(鬼塩釜:ハマウツボ科)

シオガマギク属の中で最大の種。大きいものだと1m近くなる。北陸~東北地方の日本海側の湿った山地で育つ。 シオガマは以前はゴマノハグサ科であったが、現在はハマウツボ科に入れられている。名に「ハマ」が付いているためか、どうもしっくりこない。
雨飾山

(標高 1963m)
いずれも  (雨飾山登山口 標高1200m)
秋の花には、キク科と並んでシソ科の花も多い。その一種で絶滅危惧種のマネキグサを逗子から南に延びる三浦アルプスで見たというネット情報を頼りに、台風が来る前にと出かけた。森戸川沿いの遊歩道から急坂を登って尾根道に出る。標高は高いところで210mしかないが、ピークが次々続き、結構厳しいうえに、滑りやすいし、眺望もない。花がなければ来ることも考えないところだ。4時間探したが・・・見つからなかった。そういえば、あの情報は10年前のものだった。
それでも・・・犬も歩けば何とやらで・・・・

 ツルボ(蔓穂:キジカクシ科)

外来園芸種で春に咲くシラーやムスカリと同じヒヤシンスの同類。花の付き方がどことなく、ムスカリと似ている。この仲間では日本で唯一の野生種である。
学名もBarnardia japonicaと日本特産のように見えるが、朝鮮半島やロシア沿海州でも咲く。日本がアジア大陸東岸から分離する前から咲いていたことになる。

名前の由来は不明である。

(いずれも葉山町・横須賀市境 三浦アルプス 標高205m) 

  センニンソウ(仙人草:キンポウゲ科)
 クレマチスの仲間。蔓性で、木に巻き付きついてたくさんの花をつける。楚々とした花だが、触ると皮膚がただれるほどの毒性を持つ。
果実に付く白い綿毛を仙人のヒゲに見立てて名がついた。
   ヒガンバナ(彼岸花: ヒガンバナ科)

毎年、秋分の頃になると、どこからともなくにゅっと頭をもたげて赤い花を咲かすヒガンバナ。彼岸(極楽)に咲くから曼珠沙華(マンジュシャゲ)とも、地獄の業火のようだから地獄花とも呼ばれる。日を違えず律儀に咲いて、墓参りを忘れる子に代わり親の菩提を弔ってくれる。
花が開花期を知るのは日照時間の長短や温度差を感じるからだという。昼夜の長さが同じになる秋分に咲くヒガンバナは日照説を支持しているように見えるが、東北では8月末に咲き、関西では9月下旬、九州は10月初め、と咲く時期にズレがあるため、どうも日照時間より温度差を感じて咲くという説が当たっているようだ。

      (世田谷区羽根木公園)

ヒガンバナ科(学名ではアマリリス科)に属する花は多い。スイセンやハマユウ、最近では元ユリ科であったネギやニラ類までこの科に入る。アマリリスやアガパンサスなど園芸種として外国(南アフリカ)から持ち込まれた花も多い。そして、南半球のヒガンバナの仲間は、半年ずれた春分の頃に開花する。
日本で新型コロナが広まり始めた3月中旬、南半球のヒガンバナを求めて、南アフリカ・ケープタウンへ飛んだ。
  ブルンスブギア・マルギナータ (Brunsvigia marginata)

地面から直立して生え、3cmほどの6弁の小花が密着してバレーボール大の火球になる。花弁の表面には金粉を撒いたような照りがある。晩夏、極度に乾燥した草原に現れる真紅の火種だ。
実際、この時期はケープ州では野火が頻発する。風による枝の摩擦や雷などでの自然発火、時には投げ捨てられた煙草が原因で燃え広がる。そして、プロテアなどの低木ブッシュ帯を焼き尽くす。そのあと、ブルンスブギアやハエマンサスなどのヒガンバナ科の花々が芽を出し、陽光と灰の養分を独占して不毛の土地に大きな花を開く。リュウコスペルマなど焼けた低木の果実も、ユーカリのように炎によって堅果が割れ、はじめて発芽可能となる。
焼け跡のB.マルギナータ 炎で開いたリウコスペルマの堅果
(今年のカレンダーはコロナからの再生を願って、1月はこの花を採用)
(南アフリカ西ケープ州パール
   
2018年春(9月)アヤメを見るため、この地を訪れたとき、枯れかけた幅広の葉とボール状の枯れた不思議な花を見た。それ以来気になっていて、再訪の機を窺っていた。
花穂の大きさはバスケットボール大(25~30cm)で、この属の中では最大。この年は夏枯れの野にポツン、ポツンとしか咲いていなかったが、この草地が見渡す限りボスマニで埋まり、一面ピンクの野原となることもあるという。

   (南アフリカ西ケープ州ニューウッドビル)
ブルンスブギア・ボスマニア (Brunsvigia bosmaniae)

← ブルンスブギア・オリエンタリス 
(Brunsvigia orientaris)

丈が40~50cmと大型のブルンスブギア。花弁が茎から燭台のように伸びているので、シャンデリア・リリーとも呼ばれている。

     (南アフリカ西ケープ州ウエストコースト国立公園)
ブルンスブギア・エランズモンタナ 
(Brunsvigia elandsmontana)
    
    個人所有のエランズバーグ自然保護区で最近発見された小型種。ブルンスブギアのプリンセスとも言うべきチャーミングで気品のある花だ。
ブルンスブギア・ストリアタ(Brunsvigia striata)   クロッシネ・フラバ (Crossyne flava) 
      ブルンスブギアの近縁種で、黄色い花をつける。
  
   (南アフリカ西ケープ州ニューウッドビル)

←(南アフリカ西ケープ州シトラスデールの南)
花が球体にならず、太めの筆先状に咲くのはハエマンサスだ。園芸種のマユハケオモトの仲間だが、筆先は赤い。
ハエマンサス・サングィネウス
(Haemanthus sanguineus)
(南アフリカ西ケープ州パール
 
 ハエマンサス・コッキネウス (Haemanthus coccineus)
 この種は茎に黒い紋が出る。
  (南アフリカ西ケープ州アグラス岬アフリカ最南端
 ハエマンサス・バーケラエ (Haemanthus barkerae)

姫マユハケオモトとも呼びたくなるようなキュートなハエマンサス。大変な希少種。B.ボスマニアを見た場所近くで発見。ガイドのマニング博士も興奮していた。
 南アフリカで日本のヒガンバナに最も近いのがネリネ。残念ながらネリネは見られなかったが、代わりにアマリリス。その名も 「美しき乙女」

 アマリリス・ベラドンナ (Amaryllis belladonna)

(南アフリカ西ケープ州ステレンボスのホテルの庭)

   ネリネ(Nerine)

日本のは園芸種

(世田谷区大蔵運動場)
 
 南アフリカは今、夏真っ盛り。新型コロナの変異型が猛威を振るっていて都市はロックダウン中。旅行業者は完全に仕事はないと嘆いている。夏に咲く「デサ」という素晴らしいランがあるが、コロナが収まるまで、しばらくお預けだ。それまでは花も人も無事でいてほしい。
 
前回、タマガガホトトギスとヤマジノホトトギスを紹介したが(下の「前回の花便り」からリンクあり)、ある能楽師の方から、南九州に珍しいホトトギスがあるとお聞きした。10月初め、台風が過ぎるのを待って宮崎へ向けて飛び立った。
 
初夏に鳴くのは鳥のホトトギス。杜鵑、不如帰、時鳥、子規、杜宇、蜀魂、田鵑など様々な漢字が当てられている。甲高い声で『キョ、キョ、キョキャーキョ』と鳴き続け、口内が赤いことから「鳴いて血を吐くホトトギス」と言われる。このことから、俳人、正岡子規は結核で吐血したことで、「血を吐くような句を読む」とホトトギスを自分の俳号にした。一方、花のホトトギスは夏から秋に咲く。もちろん、鳴きはしないが漢字は杜鵑草があてられる。これは、花弁の斑点が鳥のホトトギスの胸毛の模様に似ているためだ。(中国では、杜鵑花はシャクナゲのこと)
 
   ホトトギス (カッコウ科)

(サントリー愛鳥活動HPから拝借)
 キバナノツキヌキホトトギス
 (黄花貫抜杜鵑草: ユリ科)

宮崎県中央部にある尾鈴山(標高1405m)の渓谷にのみ生育する。笹の葉に似た葉の間からにゅっと顔を出し、開平した花をつける。

滝の傍の崖に自生するため、命綱を付けての撮影となった。

尾鈴山には大小30カ所の滝があり、名瀑群として国の名勝指定になっている。

 (尾鈴山 標高720m)
   
 
  自生地は滝の傍
   キバナノホトトギス 
 (黄花杜鵑草)

これも宮崎県の固有種。花弁の斑点は少ない。
尾鈴山では白滝の傍のこの株しか見当たらなかったが、南部の山ではたくさん見られるという。

 (尾鈴山白滝 標高800m)
   白滝

落差75m
この後、列車、バス、乗合タクシーを乗り継いで、
鹿児島県の垂水市へ向かう。



 タカクマホトトギス (高隈杜鵑草草)
 キバナノホトトギスの変種であるが、葉の幅は広い。花は開平せず、袋状で夜間は閉じる。

大隅半島の主稜線をなす高隈山(標高1236m)の中腹部にのみ生育する。高隈山は噴煙あがる桜島の展望台。

(鹿児島県垂水市高隈山 標高 790m)
 
 ホトトギス (杜鵑草)

最も鳥のホトトギスの胸の模様に近い斑点を持つ。ホトトギスと名づけられた理由が納得できる。
高隈山の帰路、林道脇で偶然見つけた野生種。やはり、歩いてみるものだ。
   一方、街や公園でよく見るのは、
タイワンホトトギスの園芸種。
これは本場の花。

(台湾台北市植物園)

野生種は西表島にあるという。

以前に見た中では・・・



キイジョウロウホトトギス
(紀伊上臈杜鵑草)

花弁は筒状になっていて黄色く、内側に斑点がある。
この仲間には
・トサジョウロウ(土佐上臈-高知の牧野植物園で開花前の株を見た)
・サガミジョウロウ(相模上臈)
・スルガジョウロウ(駿河上臈)があるが、いずれも絶滅危惧種。

    (和歌山県古座川町)
      ヤマホトトギス(山杜鵑草草)

花弁が下に反り返っている。
ホタルイカを逆さにしたようだ。


   (千代田区皇居東御苑)
日本にはホトトギスが12種あり、そのうち10種が日本固有種である。キバナノホトトギスの仲間のチャボホトトギスやヤマジノホトトギス系統のセトウチホトトギス(瀬戸内杜鵑草)はまだ見ておらず、今後の課題。

その他、今回の南九州の旅で会った花たち。
 ツクシママコナ(筑紫飯子菜ハマウツボ科)  ミカエリソウ(見返り草:シソ科)  ツチトリモチ(土鳥糯)
 (宮崎県尾鈴山)  (鹿児島県高隈山)  (鹿児島県高隈山)
     
11月、秋もいよいよ終盤である。今年は天候に恵まれず、紅葉を訪ねる機会を逸した。代わりに愛知県東三河で秋の色彩を楽しんだ。図らずも、この旅では第3波コロナ感染の元となった「Go To キャンペーン」の恩恵に浴した。
 シラタマホシクサ(白玉星草: ホシクサ科)

茎が枯れたように見えるから干草ではない。球形の花が星のようだから星草。
日本固有種で、東海地方4県の湿地に見られる。洪水などで荒れた土地に最初に根付くパイオニア植物。近年、住宅建設などで生育地は減少し、絶滅危惧種となっている。

    (愛知県豊橋市葦毛(いもう)湿原)

葦毛湿原は「三河の尾瀬」とも呼ばれていて、希少種が多い。標高は60mほどだがサワギキョウなど亜高山帯の植生が見られる。
    ミミカキグサ(耳掻草: タヌキモ科)
10㎝ほどの茎の先に5㎜ほどの小さい花(黄色と薄紫色がある)をつける。花の終わった後の顎が茶色く耳かきに似ていることから付いた。
食虫植物で、水中のミジンコなどを葉でからめとって捕食する。

(葦毛湿原 標高60m)
 

愛知県と静岡県の県境に沿って標高300~500mほどの石灰岩の山並みが続く。湖西アルプスとも呼ばれ、地元の人々の憩いの場所となっている。
← カワミドリ(河碧: シソ科)

葉を揉むとハッカの香りがする。薬草としても利用され、解熱、頭痛、消化不良、食あたりに効果があるという。

(豊橋市石巻山山頂: 標高358m)
     
     コウヤボウキ(高野箒:キク科)→
     
     高野山でこの茎を束にして箒にしたことからこの名がついたが、雪かきでもしたのだろうか。近縁種に遠州白熊(エンシュウハグマ)があるが、今回は見つけられなかった。
  (豊橋市多米峠 標高265m)
 
r

ここは天竜川と豊川に挟まれた地域で、東日本と西日本を分ける中央構造線が通っている。 日本列島が形作られたとき、活発な地殻活動で深層にある蛇紋岩など塩基性の強い岩石が地表に現れているところである。アポイ岳、早池峰山、白馬岳、至仏山など花どころと同じ土壌で、一般の植物は育ちにくいため固有の花々が多い。
 
ミカワマツムシソウ(三河松虫草:キク科)
 
 マツムシソウに比べ、花の径は2㎝と小さい。
  ムラサキセンブリ(紫千振: リンドウ科)   
 
(いずれも 愛知県新城市雨生山)

11月下旬、本州の花も終わったので、最後の花旅で八重山諸島の石垣島と西表島を訪ねた。
この季節でも多くの花が咲いていたが、亜熱帯地方では花に季節感がないため、「秋の花」としてではなく、冬または早春の花として、次回案内したい。予告編として、一輪だけご紹介します。
タイワンエビネ
 (台湾海老根: ラン科)

八重山諸島と台湾でしか見られない地生ラン。花弁のようにに見えるのは苞葉で、花はその中にある。
湿った沢沿いにポツンポツンと咲く。
絶滅危惧種IBでもある。


(沖縄県西表島)


次回は冬から初春にかけての暖かそうな花をお届けする予定です。

★お礼: カレンダーチャリティへのご協力 ありがとうございました
昨年末、「2021年四季の花々カレンダー」を案内し、東日本大地震震災遺児の奨学金支援としてチャリティへのご協賛を募りましたところ、111名の方からお申し出をいただき、合計336,000のご寄付をいただきました。改めましてお礼申し上げます。昨年末、運営団体の(財団法人「みちのく未来基金」へ送金しました。財団からの受領証明書をご協賛の方にお送りしておりますが、お手元に届いてますでしょうか。2月15日からの確定申告で、所得税控除を受けられますのでご利用ください。もし、まだ届いてないようでしたら、至急お知らせ下さい。
2015年より始めたチャリティ活動は6年が経過しましたが、お陰様で寄付金額は累計100万円を突破しました。皆様の善意とご協力の賜物と感謝しております。当該奨学金は地震のあった2011年に母親のお腹にいた胎児までが対象になります。あと14年、私の体力・気力が続く限り継続してゆきたいと考えていますので、引き続きご協力賜りますようお願いいたします。



★ご案内: 「2021四季の花々カレンダー」の残部があります
チャリティで使いました「2021年四季の花々カレンダー」に少々残部(20部ほど)があります。送料(5部まで200円)をご負担いただければ、お送りいたします。ご希望の方は、matsunaga*insite-r.co.jp(青字部分をクリックするか、*を@に書き換えて)までお知らせください。
できれば1部1,000円でご購入いただければ、代金分を購入者のお名前で(財団法人)「みちのく未来基金」へ寄付し、震災遺児の奨学金支援に使わせていただきたいと思います。


上記写真、またはここをクリックしていただければ、カレンダーのページへジャンプします。

前回の季節の花便り

四季の花々のページへ

インサイトリサーチホームページへ


2021.1.30 upload
2021.4.15 revised


All right reserved 2021Insite Research Co. Ltd. Hidekazu Matsunaga