東京から南へ1000㎞、太平洋の西縁に浮かぶ小笠原諸島。3000万-4000万年前に海上に姿を現して以来、一度も大陸と陸続きになったことがなく、そして190年前までは、漂流民を除き誰も住んだことがなかった無人島。この「無人」の日本語読み(ブニンまたはムニン)から英語でBonin islandsと称される。外界と隔絶されたこの地に流れつき、幸運にも根付いた植物は環境に合わせて独自の進化を遂げ、固有種となってゆく。日本のガラパゴスである。自生する植物は約300種あるが、そのうち固有種は124種(1981年現在)と40%を占める。ボニン(bonin)の種小名を有する種は50種を超える。こうした独自の生態系、生物多様性が認められて2011年、日本としては4番目の世界自然遺産に登録された。自然遺産は世界に218件が登録されているが、域内に自然遺産を持つ首都は東京だけだ。 コロナ・オミクロン株がまだ猛威を振るい、まん延防止策が取られている3月初め、(善良な市民?としては、都府県を跨ぐ旅は憚られたので)都内であることいいことに、竹芝桟橋から24時間の航海で小笠原村・父島を訪ねた。医療機関の脆弱な島にコロナウィルスを持ち込まないために、PCR検査を受けたうえで乗船した。 |
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小笠原諸島発見の最初の記録は、1543 年、スペイン船によるものであるが、その後1675 年の江戸幕府による調査が日本の領土となる根拠となった。1830年、ハワイにいた欧米人が入植して最初の島民となる。捕鯨船への補給や狩猟を目的としたものであった。その後、幕府が八丈島から入植民を送り込み、日本の領土にしたことで、先住島民も日本に帰化した。欧米系島民と呼ばれる、彼らの子孫は現在、約100名ほどが暮らしている。 小笠原の歴史については以下のURLを参照。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/tousho/3/2/3_72/_pdf/-char/ja |
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最後までご覧いただきありがとうございました。
★お礼と報告: カレンダーチャリティへのご協力 ありがとうございました
昨年末、「2022年四季の花々カレンダー」を案内し、東日本大地震震災遺児の奨学金支援としてチャリティへのご協賛を募りましたところ、123名の方から合計451,000円のご寄付をいただき、運営団体の(財団法人「みちのく未来基金」へ送金しました。ご寄付いただいた方々に改めましてお礼申し上げます。 皆さまの温かいご支援のお陰で遺児へ給付される奨学金基金は目標額を達成し、財団では奨学金給付指定の寄付金受付を停止しました(ただし、財団運営費用指定の寄付金は受付を継続)。しかし、私としては今後も花カレンダーを作り、チャリティを続けてゆきたいと考え、ご寄付いただいた方々に今後の寄付先や運営などについてアンケートをお送りし、69名の方からご回答をいただきました。 その結果は以下のURLにありますので、クリックしてご覧ください。 http://www.insite-r.co.jp/charity/questionnair/ そして、 1.今後も「四季の花々カレンダー」販売によるチャリティ活動を継続します。 2.寄付先はこれまで支援してきた「みちのく未来財団」への運営支援を継続するほか、新たに奨学資金を支給している団体を寄付対象に追加します(対象先は今後検討)。また、寄付先を選べるようにします。 3.半数の方が所得税控除を必要とせず、また、受領証明書も利用されていないため、受領証明書発行を希望するかどうか選べるようにします。(発行しないを選んだ場合でも、希望支援先に寄付します) 詳細は2023年カレンダーを案内する11月末~12月初にご案内します。 |
★新書ご紹介: 「世界之嶺-西蔵珠穆朗玛峰生物多様性観測手冊」
青いケシ研究会のメンバーで横断山脈研究会会員の劉渝宏さんがチベットで撮影した青いケシが多数、掲載されています。青いケシ以外でも、プリムラやシャクナゲなど全部で256種の植物や初めて撮影されたキンイロジャッカル(Canis
aureus)など貴重な動物や鳥、虫類の写真が600ページの本書に載っています。 (掲載の青いケシ18種) メコノプシス・シェルフィー(G・シェルフィーが初めて発見したチベット・錯那で 撮影)、M・ガキィディアナ(中国初記載)、M・ピンナティフォリア、M・ホリデュラ、M・エロンガタ(中国初記載)、M・パニクラータ、M・グランディス、M・ポリゴノイデス(中国初記載)、M・シンプリキフォリア、M・シヌアータ(中国初記載)、M・ザンナネンシス、M・ラサエンシス、M・ベラ、M・オウタムナリス(中国初記載)、M・チベチカ、M・ドウォージ(中国初記載)、M・バイレイ、M・プライニアナ 本書は中国での出版で、文は中国語(簡体字)ですが、写真集としてだけでもじゅうぶん満足できる内容です。
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★旧書ご案内: 「花想 パーキンソン病18年の軌跡」(木佐聡希写真集)
10年前、花を愛した一人のパーキンソン病患者が亡くなりました。不自由な体を押し、震える指を抑えながらシャッターを切り続け、18年間の闘病生活の間に1万枚の花の写真を残されました。その中から選んだ写真をカレンダーにして毎年、知り合いに送られていたものをまとめた写真集です。題材は身の回りにある、普段目にする花ですが、それが木佐さんのファインダーに入ると、みずみずしい姿に変わります。まるで魔法で閉じ込められていた花の妖精が現れたようです。
10年前、縁あってこの本を手にしました。ページを開いた時の驚きを今でも覚えています。花や実が「自らを語って」いたのです。特に印象的だったのは鬼灯(ほおずき)でした。枯れた外皮の鳥かごの中で唄う赤い実。私もこんな写真を撮りたいと願い、手元に置き時々ページを開いています。 この度、ご家族の方からまだ在庫があるので、ご希望の方があればお分けしたいとのご連絡をいただきました。
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ご希望の方は佐々木久仁子さままで(メール:sasaki_kuniko@mbg.nifty.com または電話/SMS 080-1441-9073)でご連絡ください。 |
★予定: 能「山姥」を演じます
昨年9月の予定であった春綱会社中の発表会が延期となりましたが、この5月1日(日)に開催されることになりました。
既にご案内通り、友人たちの追善・慰霊を兼ねて能「山姥」を演じます。私の出演時間は午後5時ころとなります。
連休中ですが、ご興味がありましたらご来場ください。(まだコロナは完全に収束していませんので、ご無理なさらずに)
会場は変更なく、国立能楽堂です。入場料無料です。
期日が近づきましたら、能の解説を含めてご案内を差し上げます。
山姥(やまんば) 師匠の山井綱雄師 (撮影:辻井清一郎氏) |
★あなたもできます <ロシア軍ウクライナ侵攻> 抗戦と支援
2月24日演習と称して国境に集結していたロシア軍が同胞民保護の口実でウクライナに侵攻しました。多数の罪もない市民が殺戮されるのを見て、憤り、悲しみ、心を痛めておられると思います。ご高齢の方は、77年前の8月9日、日ソ中立条約を破って満州(中国東北部)になだれ込んできたソ連軍を思い出されたのではないでしょうか。この侵攻でソ連兵が行った無差別攻撃や凌辱などで(シベリア抑留者を含む)軍民の死者数は30万人に上るといいます。ウクライナでも同様のことが起きるのではないかと懸念されます。帝政(ニコライ1世)、共産主義(スターリン)、そして資本主義(プーチン)と政治体制を問わず、この国の権力者は暴力で隣国へ押し入り続けてきました。ソビエトが崩壊した時、まともな民主国家ができるのではと期待したのですが、時計は逆回りし、絶対権力者と独占財閥が国を牛耳る19世紀型帝国主義の国家になってしまいました。 ウクライナ侵攻は対岸の火事ではありません。日本はロシアとほぼ国境を接しています(納沙布岬-歯舞群島・貝殻島間はわずか3.7km。朝鮮半島の非武装中立地帯より距離は短く、大砲の球は楽々と飛び越えて来ます)。ミサイル発射を続ける北朝鮮はこの侵略を支持していて、そして、権威主義の失墜を恐れる中国は支援を隠そうとしない・・・みな隣国です。このままロシアがウクライナを占領してしまえば、その先には台湾や韓国…そして次は日本、かもしれません。 今、この侵攻を阻止し、権威主義者の野望を砕かないと、民主主義と自由の死につながります。そしてその戦いは民主主義・自由主義国のリーダーたちだけの仕事ではありません。私たち市民も参加できる戦いでもあります。ヘミングウェイのように国際義勇軍に参加しなくても、ユニセフや国境なき医師団などの団体へ寄付はできますが、それ以上に効果的な方法があります。市民が「団結を示す」ことです。戦略はこうです。 戦争での必勝セオリーに「兵糧攻め」があります。時間はかかりますが、味方の損傷は少なく、敵への打撃は大きく、総崩れが期待できます。ロシアの軍資金の元手は石油やLNGなどの資源輸出です。太平洋戦争で日本が原油禁輸で敗れたのとは逆に、ロシアから資源を買わなければ外貨は稼げず、前線の侵略軍兵士に給与を払うことができなくなります。士気の低い軍隊で「戦艦ポチョムキンの反乱」が起きるかもしれません。 G7の国々もこうした戦略を取ろうとしています。しかし、自国に豊かな資源のあるアメリカを除いて、ロシア資源への依存度の高いEUや日本の足並みは揃っておらず、ロシアに付け入るスキを与えかねません。 日本の資源輸入全量に占めるロシア産は、石油で3.6%、LNGで8.8%、石炭で11%です。大企業がサハリン石油プロジェクトに参加していることやプーチンに尻尾を振った元首相が大派閥の領主ということもあり、現政権は原油やLNG禁輸について明確な態度を表明していません。ならば、私たち市民一人一人が「ロシア産の原油・LNGは要らない、買わない」と表明し、実際に消費を減らすことで、政府や資源輸入業者に禁輸への圧力(後押し)をかけることができます。 具体的には電力使用を7%、ガスを9%、ガソリンを4%減らすことができれば、ロシア産資源を使わなくても済みます(発電はLNG37%、石炭32%、石油7%の割合で使用しています)。 下表は昨年1年間の私のオフィスの電力・ガス使用量です(車がないのでガソリンはなし)。これからロシア軍が撤退するまでロシア産エネルギーに相当する分の節減に努めます。 (太枠内の赤字は削減後の目標値) この戦略にご賛同いただけるようでしたら、皆さまも是非参戦してください。また、お知り合いにも呼び掛けてください(このページを転送していただいて結構です)。世界中で侵攻に反対する人々が自国で輸入するロシア産の原油・ガスの使用をやめることができれば、ロシア軍を撤退に追い込むことができるでしょう。そして、節減により浮いた光熱費は是非ウクライナへの人道支援寄付にお使いください。また、この活動によるCO2削減で、地球温暖化防止につながりますし、そのことで貴重な固有種を守ることもできます。 東日本大震災のあと、日本は8年間でエネルギー消費量を10%減らすことができました。この目標は達成可能な数字ですが、既にエコを実践している方や消費量の少ない方にはきつい目標となるかもしれません。また、今年も酷暑が予想されますので、適度に冷房などを使い、無理のない範囲でご協力ください。 |
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