朝顔に 釣瓶(つるべ)取られて もらい水 (千代女)
子供の頃、同郷の俳人である加賀の千代女の句を初めて聞いたとき「何で朝顔に手が生えて、釣瓶なんか取るんだろう」と訝ったものでした。
まったく「昔はものを思もわざりけり」でした。
加賀藩前田家は百万石なりとも、若くして夫に先立たれた下級武士の妻の立場は弱いもの。
下女を使う訳にもゆかず、朝餉の支度や子供の世話を自分でしなければならない身。
つい手間取って、いつもより遅く水汲みにでてみると、井戸の脇に生えていた朝顔が蔓を延ばし、釣瓶の竹に巻き付き、
そして一輪、二輪、夏の朝日に向かって赤紫の花を広げている。
このまま水を汲むと、蔓は切れてしまい、花も散ってしまうだろう。
花の命は短いのは分かっているが、人生の盛りに命を摘まれた我が夫のようで悲しい。
水は隣家から借りることにして、この花たちが一朝の生を楽しむ間は、このままにしておこう。
と、若妻の悲しみをうたったと読むことができるようになりました。
もちろん、 起きて見つ 寝て見つ 蚊帳の広さかな と閨の嘆きもうたった千代女、他の解釈も可能です。
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昼顔(ヒルガオ) 朝咲くから「朝顔」、昼咲くと「昼顔」 カトリーヌ・ドヌーブが演じた映画の「昼顔」の主人公は、豊満な肢体と奔放な情欲を持つインペイティアントな女でしたが・・・・・・ 実際は楚々とした花です。 そして夜咲く「夕顔」は、源氏物語では薄幸のおおらかな女ですが・・・・・実際の花の実はかんぴょうの材料となりますです。 (世田谷区羽根木) |
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