祈り、そして希望

3月11日午後2時46分、宮城県沖から茨城県沖にかけて連続して発生したマグニチュード9の巨大地震は大津波を引き起こし、数十分後に東北地方から北関東の太平洋岸を襲い、瞬く間に2万8500人以上(死者・行方不明者数、4月14日現在)を飲み込みました。そして、東電福島第1原子力発電所ではチェルノブイリ原発と同じ「炉心溶融」が起き、いまだ大量の放射能が放出されています。このため、半径20~30Km以内の住民は避難を余儀なくされた上、直接的な被害を受けなかった地域でも計画停電などで不便な生活を強いられることになりました。
以前から「近い将来必ずおきる」といわれた大地震。しかし、行政や多くの研究者の目は東海・南海に向いており、これだけの規模の地震が東北地方で起きると警告する声は聞かれませんでした。16年前の阪神・淡路大地震の後も、鳥取県西部地震、中越地震、能登地震、岩手・宮城内陸地震など大きな被害を出した地震がほぼ3年おきに発生しています。「忘れた頃」ならぬ、忘れぬうちにおきる災害、そして物質文明の豊かさと比例して大きくなる人的・物的・経済的損害。

まさか環境破壊を続ける人間に対する現代の「ノアの大洪水」ではないでしょうが、今やどこにいても遭遇する自然災害。予知や予防ができない以上、被害を最小にして生き延びる方法を模索しなければなりません。その中には過剰消費をベースとした現在の物質文化へ反省も含まれるべきでしょう。地球という「荒くれ母神」と折り合ってゆくためにも。

今回の地震で亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様にお悔やみ申し上げます。また、避難生活を強いられておられる方には一日も早い復旧を願っております。

   スノードロップ   
別名: 待雪草(マツユキソウ)

エデンの園を追われたアダムとイヴに降りかかる雪を天使が花に変えたといういわれのある花。キリスト教の修道院で2月2日のキャンドルマス(聖燭祭)で捧げられる。

震災後に被災地に降ったも雪もこの花に変わればまだ慰めはあったでしょうに・・・。
花言葉は「希望、慰め、逆境のなかの希望」
この写真では少しわかりづらいですが、中心近くにハートのマークが出ます。

(世田谷区瀬田フラワーパーク)

水仙(スイセン)

ギリシャ神話に登場する美少年、ナルシスが水に映った自分の姿に焦がれ死んだ後に咲いた花と言われますが、それは口紅水仙といわれる中心の花冠が赤い遅咲き水仙。
これは中国から渡ってきた日本水仙(副花冠は黄色)の変種です。水辺の仙人のからとったものです。水(津波)にさらわれた方々の霊にささげます。

(世田谷区瀬田フラワーパーク)
ラッパ水仙など黄色い水仙はダフォディ(Daffodil)と呼ばれ、春先に咲くことから「希望」のしるしとしてがん患者支援団体で使われています。

「幸福の黄色いハンカチ」という映画を憶えていますか?今から35年(1977年10月)も昔の純愛(死語ですね)映画です。主演は高倉健と賠償千恵子、武田鉄也や桃井かおりも脇役で出ています。刑務所帰りの夫を待つしるしの黄色いハンカチ。第1回日本アカデミー賞を総なめした映画でした。

今度の災害で被害を受けた方に「希望」をお届けしたいと願って−春の黄色い花を贈ります。
(写真をクリックすれば拡大します)
 福寿草 (フクジュソウ)

春一番に咲く黄色の花。縁起物として新年の飾りにも使われますが、路地ものは立春を過ぎてから。昔の正月は旧暦でしたから、季節は合っていますね。
キンポウゲの仲間で、根には毒があります。
(水仙も同じキンポウゲ科で、有毒です。ニラと間違えて食べた死亡例もあります)

花言葉は「幸福」のほかに、「回想」「悲しい思い出」

(世田谷区羽根木)
黄梅(オウバイ)  
別名:迎春花  

福寿草が日本の新年を彩る花なら
中国ではこの花。中国の旧正月(春節)の頃咲きます。
もっとも、中国の春節は毎年日が違っていますから、
開花とずれることもあるでしょう。
また、梅の名がついていますが、実は木犀の仲間。
英語名はWinter jusmineといい、よい香りがします。


(世田谷区瀬田フラワーパーク)
 

福寿草も黄梅もどちらも旧暦の新年に咲く花。では、新暦(グレゴリー暦)の正月に咲く花はないの? 
ありました、ありました。
素心蝋梅(ソシンロウバイ)

梅より一歩先に咲き始めます。梅はバラ科で桜や桃と同じ仲間ですが、蝋梅は楠(クスノキ)の仲間。樟脳を取るクスノキは香りの強き木ですが、蝋梅の香りもなかなかです。
花弁が蝋のように滑らかなことから命名されたようです。

(世田谷区羽根木公園)

この大震災前までは宮崎県が一身に自然災害を引き受けていました。
口蹄疫に鳥インフルエンザ。多くの家畜が殺処分され・・・そして、新燃岳の噴火。
全国から多数の支援と「おもいやり」が寄せられました。

日向水木(ヒュウガミズキ) 
別名: 土佐水木 花言葉 おもいやり

日向の国(宮崎県)に多く自生したという説がありますが、どうも確かではないようです。明智光秀が日向守だったからとも。また、「水木」の名がついていますが、ミズキ科ではなく、マンサク科です。葉がミズキと似ているためついたのでしょうか。

(世田谷区砧公園)
これは仲間の土佐水木  
こちらは   満作(マンサク)
                 (世田谷区羽根木公園)

春になって「マンズ咲く」(東北弁)からマンサクとか?
 
ミズキ科の仲間で黄色花ををつけるのは・・・山茱萸(サンシュユ) 
(世田谷区瀬田)
  三椏(ミツマタ) 

枝が三叉しているところから三又(ミツマタ)。
紙を作るには皮をはいで、叩き潰し、その繊維を漉きとります。
旧大蔵省印刷局(現在は独立行政法人)の建物の周囲に植えてあります。

    (港区虎ノ門)
山吹 (ヤマブキ)

「蓑ひとつだになきぞ悲しき」と詠まれた山吹。
津波ですべてが流され、多くの被災者が
「身ひとつだけ」になってしまいました。
国や自治体からの支援はもちろんですが、
私たちにもできることがあります。
(私はロータリーを通じて義捐金を送りました)

(世田谷区砧)

  カロライナ・ジャスミン
  別名: トランペットフラワー

つる性の低木ですが、生命力が強く、よく伸びます。また、芳香もあります。このため「ジャスミン」の名がつけられていますが、ジャスミンの仲間(モクセイ科)ではありません藤空木(フジウツギ)科です。
また、名前のとおり、サウス・カロライナ州の州花です。


(世田谷区砧山野小学校)
このほか、木の花では 連翹(レンギョウ)やミモザがあります。

草の花では・・・・
姫立金花(ヒメリュウキンカ)

昨年6月に尾瀬に行ったとき、水芭蕉と一緒に咲いていたのが立金花。これはそれより少し小さい種類です。水辺の花で、この花は甕の中で咲いていました。日本の固有種のように見えますが、イギリスからの外来種です。(立金花は固有種)

花言葉は「必ず来る幸福」。被災者の皆さん、頑張ってください。

(埼玉県日高市)
    フリージア

甘い香りが春の到来を伝えてくれます。
アヤメ(綾目)の仲間です。アヤメはカキツバタ(杜若)やハナショウブ(花菖蒲)と違って、乾いた土地で育ちます。外来種のジャーマンアイリスやダッチアイリスもアヤメ科です。

 (世田谷区松原)

ブルビネラ

棕櫚の木のような、マラカスのような、蓑を着た人のような・・・
いろいろ想像力を刺激してくれます。
ユリの仲間で南アフリカ原産。寒さに弱い花ですが、日本では何故か1〜4月の寒い季節に咲きます。(南半球ではこの時期は暑い盛りです)


(世田谷区瀬田フラワーパーク)

一番春を感じさせる花といえば、それまで何もなかった地面にポコッと咲く花。
福寿草もそうですが、やはり・・・・そう、クロッカスです。

クロッカス 
フリージアと同じ、アヤメ科の花。黄色、白、紫の3色ありますが、黄色と白・紫は別種です。
この花にもギリシャ神話にまつわっていて、神々が美少年クロークスと羊飼いの娘スミラックスとの結婚を妨害したため、クロークスが失望して自殺した。残されたスミラックスが日夜嘆き悲しんでいたのを花の女神フローラが彼をクロッカスに変え、娘をサルトリイバラに変えた言う話。古代ギリシャでは結婚式にはクロッカスとサルトリイバラが贈られたという。
真偽のほどはわかりませんが、事実なら結婚式は春先にしかできないことになりますね。

(世田谷区大蔵) 
(世田谷区瀬田フラワーパーク

このほか、菜の花やからし菜などのアブラナ科の花、タンポポやノゲシ、プリムラ、チューリップなど春先の花には黄色い花をつけるものが多いように思えます。受粉の仲介をしてくれる「虫が見つけやすくするため、黄色がよい」という説もありますが、(人間には目立つ色かも知れませんが)虫の目は紫外線に近い340~360ナノmの波長に反応しますので、その説が正しければ青色系の花になるはずです。
私の想像は・・・黄色は「花粉」の色。花粉の奥には蜜が潜んでいることを知っている虫は、この花粉(の色)を目指して飛んでくるではないかと思っています。

カラーセラピーでは「黄色」は不安や自信のなさを解消し、気持ちに力を与える色として使われます。
被災者や気を落とされている人へのお見舞いや慰めに「黄色い」パッケージを使うとよいかもしれません。

こんな災害があっても、自然は動きを止めず、季節はきちんと巡り、そして花が咲きます。
今年の桜は悲しみの花になりますが、瓦礫の中に咲く桜は被災者に団結力と勇気を与えてくれでしょう。
(台東区不忍池)
能には「西行桜」「田村」「熊野」など、桜を題材にした曲が多くあります。楽しい曲もありますが、多くは「はかなさ」を詠っています。
中でも「桜川」は攫われた子を探して日向から常磐まで旅をする母親の話で、桜川の水に落ちた花びらを掬って「これは娘でない」と狂乱し、彷徨い求めます。津波で行方不明となった子供を探し求めて瓦礫の街を彷徨う母の姿が重なります。「桜川」では最後は娘を見つけ出し、ハッピーエンドとなるのですが・・・・。
ちなみに「桜川」は筑波山の西を流れる川です。

げにや年を経て、花の鏡となる水は
落ちかかるをや、曇るというらん
まこと散りぬれば、後は芥(あくた)になる花と
思い知る身はさていかに、われも夢なるを
花のみと見るぞ、儚(はかな)き
されば梢(こずえ)より、あだに散りぬる花なれば
落ちても水の哀れとは、いざ白波の花にのみ
馴れしも今は、先立たぬ・・・・・

(世田谷区成城仙川)

春の花として、ちょっと寂しいすぎると思われた方はこちらをどうぞ。(過去の春の花です)
旅立ちの刻(2009年5月)
ホップ・ステップ・スプリング(2008年4月)
花は紅、柳は緑 江南の春(2007年3月)
春の祭典(2006年5月)

東日本大震災義援金のチャリティーにご協力ください。
東日本大震災の被災者のために既に義援金を送られたり、援助の品を送られたりされていると思います。私も既にインサイトリサーチの年間売上(予想)の1%相当の義援金をロータリーを通じてお送りしていますが、もっと他にできることはないかと考えました。
これまでたくさんの花の写真を撮ってきましたが、その中で評判の良かった写真をプリントしたものを購入していただき、その収益金を義援金として送りたいと思います。

サイズ: A4(A3までの他のサイズも可能ですので、ご相談ください)
価 格: 1,000円/枚 (送料込み、1枚について800円を義援金として送ります)
オプション: 額縁(A4サイズ)−1,000円(送料込み)
お申込み: ご希望の写真を選んで、その番号と枚数、額縁の有無、送り先を
        matsunaga@insite-r.co.jpまでお知らせください。代金の振込先をお知らせします。




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