森林と水の王国、南部アウストラルでの花探索を終え、プエルト・モントまで戻り、空路で最南端のプンタ・アナレス空港へ向かう。(南部アウストラルの旅はここをクリック
アウストラルの南部からパイネ山群まではわずか300kmほどなのだが、火山帯や氷原が行く手を阻み、いったんアルゼンチンへ出ない限り陸路では行けず、海路か空路を使うことになる。お陰で上空から雪を戴いた火山や氷河の景色を堪能することができた。2時間後、鈍色のマゼラン海峡に臨むプンタ・アナレス空港に着陸する。外は荒涼とした平原であった。
 パタゴニアは南緯40度以南のアルゼンチンとチリにまたがった地方を指す。アルゼンチン側が大部分を占め、アンデス山脈から吹き下ろす乾いた寒風(からっ風)のお陰で、寒冷・乾燥した荒涼とした平原になっている。一方、チリ側は南部アウストラルで見たように湿潤で温帯雨林を形成するが、パイネ山群より南部からマゼラン海峡まではアルゼンチンから続く平原になっている。
 ここをパタゴニアと名付けたのは世界一周を成し遂げた(本人は途中で死亡しているが)マゼランである。地面に残された大きな足跡をみて、足の大きさから身長が4mにもなる巨人族(パタゴン)が住む土地(パタはスペイン語で足、ゴニアは土地)と命名した。しかし、実は足跡はグアナコの毛皮で作った靴の跡で実際の身長は2m前後であったという。
パタゴニアでのチリ・アルゼンチン国境は19世紀から係争問題が多く、今でも国境が確定していない地域がある。軍事衝突の可能性もあったが、ローマ教皇や国際司法裁判所の仲裁のお陰で、現在は解決している。
ウクライナvs.ロシア、中国vs.インドvs.パキスタンなど世界には国境紛争は絶えないが、パタゴニアでの国境問題が平和裏に解決されてたのは稀有な例である。背後には同質の文化や均衡する軍事バランスなどがある。それでも、プンタ・アナレス空港には戦闘機や哨戒機が配置されていた。
  (上空から見たマゼラン海峡)
空港でレンタカーを借り、平坦な草原を一路、北へ向かう。 
まず最初に出会ったのは・・・・大口開けて我々一行を歓迎してくれる花々であった。

カルセオラリア・ユニフローラ
Calceolaria uniflora カルセオラリア科 (別名:ダーウィンのスリッパ― Darwin's slipper)
顎が外れるほどの大口を開けた姿はなんともユニークで、奇妙である。しかし、伊達や酔狂でこんな姿をしているのではない。種の保存ための涙ぐましい努力の結果なのだ。
カルセオラリア科は和名でキンチャクソウ科と呼ばれているように、この仲間の多くは、花弁の下部が袋状になっていて、そこに昆虫を呼び込み、花粉を運ばせるのだが、寒冷、強風のパタゴニアでは昆虫の数も活動量も限られてくる。
そこで本種は安定した受粉を求めて、ポリネーターを昆虫から鳥へ変えたのだった。自ら袋を開き(ブレークスルー)、歯のような白い部分に糖分を貯めた。鳥(タシギ)がここを食べようとして突くと、上部の飛び出した目玉のような突起にある花粉がタシギの頭部に付く。次の花へ飛んで行って同じように白い部分を突くと、頭部に付いた花粉が、雄しべの間にある雌しべに付き受粉が完成する。

「貧家に孝子出ず」ではないが、厳しい環境が知恵や生存力を育むのは何も人間ばかりではないようだ。

(プエルト・ナタレスへ向かう国道9号線の傍)

 鳥に齧られた花弁
   正面から見るとエプロンをかけた小人。目に当たるところが雄しべで、鼻は雌しべである。

鳥にはどんな姿に見えるのだろうか?---食べ物を捧げる給仕だとしたら、花の勝ちだ。
 
カルセオラリアはラテン語で小さなスリッパを意味する「カルセオルス」から来ている。ラン科のアツモリソウ属(Cypripedium)も貴婦人のスリッパ」と呼ばれているが、「女神」を意味する古代ギリシャ語のキプリスと「スリッパ」を意味するペディウムからなる。
アツモリソウは昆虫を誘引して受粉を成功させるために花弁の形を袋状に変えた。種は異なるが、似たような花の形からは生物の種の保存への強い意欲が窺える。

北部アルティプラーノや南部アウストラルで見た袋状の花弁を持つカルセオラリアもある。
  カルセオラリア・ビフローラ
Calceolaria biflora

こちらは「巾着草」の名にふさわしい形。英語ではYellow Lady's slipperと呼ばれる。ラン科アツモリソウ属にも同じ俗名(コモン・ネーム)で呼ばれる種があるので要注意。

小種名のビフローラはbi=2で、二輪草のように二つの花をつける意味。この小種名を持つ花は多く、日本のスミレ科のキバナコマノツメはViola bifloraである。

(パイネ山群アズール湖)
カルセオラリア・テネラ
Calceolaria tenella

こちらの花弁は半分しか閉じていない。これでは中のお金が落ちてしまう。
パタゴニアでの拠点となるプエルト・ナタレスまでは240kmあり、平坦な荒野が続く。穀物や野菜は育たず、所々で羊の放牧を見るばかりだ。池が点在し、水鳥たちが羽を伸ばしていた。わずか残る林の木々は強風で枝を南に傾けている。
人間には厳しい環境であっても、うまく適応できた野生の生物にとってはパラダイスだ。ただし、人間が入り込んでこない限りではあるが…。プエルト・ナタレスに向かう道路の土手の風衝地やブッシュの中に様々な色の花が咲いていた。
  オルシニュウム・ビフロルム
  Olsynium biflorum アヤメ科

南北アメリカとニュージーランドに自生する。花弁に青紫色の筋が入ることもある。
   
    オキザリス・エンネアフィラ
    Oxalis enneaphylla カタバミ科

 オキザリスは世界中で見られるが
本種はパタゴニアの固有種。
この他、乾燥から身を守る方法として、サボテンのように葉を棘状にして蒸散を防ぐ方法がある。この属に和名のヘビノボラズ(蛇登らず)の名があるように、鋭い棘を持っている。また、葉も肉厚の松葉のようである。種名のエンペトリも「葉が細かい」というラテン語から来ている。

      ベリベリス・エンペトリフォリ
       Berberis empetrifolia

パタゴニア・アンデス山脈の固有種
 
   
ベースを置いたプエルト・ナタレスからアルゼンチンとの国境に沿って北へ90km、いよいよパイネ山群へ。天候も良好だ。
ムリヌム・スピノスム 
Mulinum spinosum セリ科

北部で見たアゾレラ・コンパクタの仲間。
別名Mother-in-law cussion (姑の座布団)の名がある。葉の先がとがっていて、この上に座るとチクチクと尻が痛い。まるで姑にチクチクと小言を言われているみたいだ。

(パイネ川のカスケード)
  拡大すると・・・
パイネ川の向こうにパイネの塔と呼ばれる乱杭歯を立てたような岩峰が連なる。 左から南峰、中央峰、北峰。標高は2300~2500m。
 
  クロラエア・マゲラニカ
 Chloraea magellanica ラン科
 
ランと言えば薄暗い熱帯雨林の林床にけばけばしい色と怪しげな姿を思い浮かべるが、それに反してクロラエア属は耐寒性があるため、ペルー・アンデスの高地から極寒のパタゴニア平原まで広く分布する。
マジェランの名を持つ本種はパタゴニアの寒風に耐えられるよう太く頑丈な茎を持ち、直立する。
白い花弁に緑色の網目状の模様があることから「磁器ラン(Porcelain Orchid)」とも称される。

(背景の山はパイネ・グランデ)
 

ちなみに属名のクロラエアはギリシャ語の「緑」を意味するChlorosから来ている。葉緑素をクロロフォルムというのも、同じ語源である。


(左: パイネ川のカスケード)
(右: アズール湖畔)





13年前に昇天した母の遺灰をこの根に埋め、墓守をとした。
  
パイネにはもう1種、クロラエア属がある。



 クロラエア・フォンキー
 Chloraea fonkii

C.マゲラニカと同様、花弁に緑色の網目状の模様があるが、花弁はほとんど開花しない。

本種は別名C.ガウディカウディ(Chloraea gaudichaudii)を持つ。

(ポルテノ湖畔)
このほか、パイネで見られるランにガビレア属とコドノルキス属がある。
     
 ガビレア・グラディシアエ
Gavilea gladysiae
 ガビレア・リトラリス
Gavilea littoralis
 ガビレア・スプララベラータ
Gavilea supralabellata
 ガビレア・ルテア
Gavilea lutea
       
ガビレア・アラウカナ
Gavilea araucana
 コドノオルキス・レッソニー
 Codonorchis lessonii
   ガビレア・スプララベラータ
ランは最後に地上に現れた後発の植物と言われる。先行した植物たちとの競争に打ち勝つため、虫を騙して受粉するなど知能的な生存戦略をとった。そして、熱帯から寒帯まで、低地から高地まで世界中に生息域を広げている。その数は880属25,000種にも登る。
しかし、それを上回る植物がある。キクである。種類は1,900属、32,000種以上あり、圧倒的なチャンピオンだ(ランは第2位)。それは、ランと同様に環境への適用の高さ、受粉の多様性(一つの頭花に多くの集合花を付け、効率よく受粉し、またタンポポの綿毛のように風で拡散する)、そして食用や薬用として人間の活動と深くかかわってきたためである。パイネにはそんなキク科の進化をうかがわせる花達があった。
 キリオトリクム・ディフスム
 Chiliotrichum diffusum

キク科の多くは草本だが、本種は低木である。湖に白波を立たせる強風にも耐え、また硬い皮のような葉に水分を溜めることで乾燥にも強い。

この写真は「パイネ晴嵐」と題して日本山岳会アルパインフォトクラブの写真展に出展した。

(アズール湖)
 
 リューケリア・プルプレア
  Leucheria purpurea


  ペレンジア・レクルバータ 
  Perezia recurvata

どちらもパタゴニアとフォークランド諸島の固有種。
   
 一方、こちらは 
セイヨウノコギリソウ
Achillea millefolium

アフリカ・サハラ砂漠とシベリアを除き、世界中に分布するグローバルフラワー。 
ヨーロッパ原産だが、傷薬として有用であるため、大航海時代以降に人間によって運ばれた。繁殖力が強く、野生化している。
ヒポカエリス・インカーナ
Hypochaeris incana キク科

タンポポの仲間。白い花弁から湾曲した褐紫色の雄しべが伸びる。
この属はエゾコウゾリナの和名を持つが本種はパタゴニアの固有種なのでこの和名属を適用するのは不適当と思われる。
キク科セネキオ属にはアフリカ・キリマンジャロのジャイアント・セネキオのように5mにまで成長するものがあるが、乾燥・寒冷のパタゴニアでは最長でも40cmにしか育たない。 水を貯えるため葉に厚くなり、多肉の植物となる。
いずれもパタゴニアの固有種。
セネキオ・パタゴニクス
Senecio patagonicus
  セネキオ・キンギー
Senecio kingii
植物の種類1位がキク科で2位がラン科となると、気になるのが第3位。それは マメ科で- 約750属19,500種以上ある。
人類の祖先が森から草原に進出し(追い出され)て、野火で焼かれた豆が食べられることを知った時、地上の王者への道が開けた。豆は硬く、シアンなどの毒性があるため生で食べる哺乳類はいない。火で調理することを覚えたヒトだけが豆を独占的に食用にすることができた。しかも栄養が豊富で、ポータブルだ。豆の食用化により人類は砂漠や氷原を超えて移動が可能になった。そして、世界の果てパタゴニアまで到達することになる。
 ラティルス・マゲラニクス
 Lathyrus megellanicus

エンドウ豆と異なり、スィートビーの仲間。和名ではレンリソウ属になる。

 


  (トロ湖の北の丘)
この 近くでこの属のもう1種を見る。

 ラティルス・ネルボスス
 Lathyrus nervosus

こちらの方がスィートピーに似ている。子葉が相対していることを男女の相愛にかけて、比翼連理からレンリソウの名の由来となった。
  
 
アデスミア・ロトイデス
 Adesmia lotoides

アデスミア属はペルーやブラジル以南の南米に自生するが、本種はパタゴニアのアルゼンチン側に自生する。この属には約200種が含まれ、マメ科の最大の属となっている。 
  ヴィキア・マゲラニカ
  Vicia magellanica

ヴィキアはソラマメ属で、日本のクサフジと同じ仲間。
分布域はチリ・アンデスとパタゴニア。アデスミア属とよく似ているが、葉の付き方が異なる。
ちなみに、種の多さ4位~10位は・・・・
4位-アカネ科(約13,000種)、5位-イネ科(約12,000種)、6位-バラ科(約9,000種)、7位-アブラナ科(約4,000種)、8位-キンポウゲ科(約2,500種)、9位-ナデシコ科(約3,000種)、10位-ユリ科(約3,000種)
(お詫びと訂正)2026.1.18
上記の植物の種の数についての記述は、AI(Copilot)での検索結果を基に書いたものですが、専門家より「数字がおかしいのでは?」との指摘を受けて再調査しましたところ、以下のようになりました。AIの結果を検証せず、そのまま掲載してしまい、間違った情報を提供しましたこと、深くお詫び申し上げます。

植物の種の数
1位から5位までは、データソースによって数字は若干異なりますが、ほぼ上記の通りです。しかし、6位以下はソースにより大きく変動します。このため、ソース別数字の平均をとりましたが、余りあてならないことをご了解ください。
6位-トウダイグサ科(7,500種以上)、7位-カヤツリグサ科(5,500種以上)、8位-シソ科(7,000種以上)、9位-コショウ科(3,000〜3,700種以上)、10位-アブラナ科(約3,000種)
なお、前にランクインしていたバラ科⇒約2,500種、キンポウゲ科⇒約2,000〜3,000 種、ナデシコ科⇒約2,000〜2,600 種 、ユリ科⇒約600〜700種
ユリ科が大きく減らしたのは、APG体系でユリ属以外が別の科に移されたためです。
種の数について、ソース別の詳細はここをクリックしてください。

皆さま、くれぐれも「AIだから正しい」と思い込まれませんように。
しかし、パタゴニアにはこうしたメジャーな花々はあまりない。この中では・・・
バラ科 
ゲウム・マゲラニクム
Geum magellanicum
アカエナ・マゲラニカ
Acaena magellanica
キンポウゲ科 

  アネモネ・マルチフィーダ
  Anemone multifida

北米大陸と南米のアンデス、パタゴニアに分布。
   

その代わり個性豊かな花が見られる。
 オウリシア・ルエリオイデス
 Ouresia ruellioides
 オオバコ科

この仲間は水が流れる所を好む。前回のチリ南部(アウストラル)で見たOurisia coccineaも小川の傍で咲いていた。
 
   アリストロメリア・パタゴニカ
   Alstroemeria patagonica
   ユリズイセン科

チリ北部や中部で見られるアリストロメリアは丈が1m以上になるが、寒冷・乾燥のパタゴニアでは高さは5cmほどと矮小化する。
 
ファセリア・セクンダ
Phacelia secunda ムラサキ科

かつてはネモフィラと並んでハゼリソウ科に属していたが、APG植物分類体系ではムラサキ科に統合された。
チリとアルゼンチンに分布し、チリ北部のパリナコタ州(南緯18度)から最南端のフェゴ島(ティエラ・デル・フエゴ州(南緯54度))まで、そして海抜ゼロメートル地帯からアンデス高地まで広く分布する。
サモラス・スパツラツス
Samolus spathulatus
サクラソウ科

パタゴニアの固有種。
 
ヴァレリアナ・コルノサ
Valeriana carnosa
スイカズラ科

この仲間のセイヨウカノコソウ(Valerian officinalis)はヨーロッパではローマ時代くから鎮静剤や緩和剤として用いられてきた薬用植物。本種も現地の人々に利用されており、過剰採集により絶滅が心配されている。
チリ中部以南のアンデス山脈とパタゴニアの固有種。花は茎の頂に集散花序を作り、2本の雄しべが兜の鍬形のように出ている。

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 アルメリア・クーヴィフローラ
 Armeria curvifolia
 イソマツ科
アルメリアは「浜簪(ハマカンザシ)の名で、園芸種として販売されているので、花屋の店頭で見られる。この属はヨーロッパを中心に南北アメリカの沿岸部に分布している。英語名はThrift(=力強いの意味)で、乾燥や塩分に強い性質を持つ。
本種はチリ中部以南のアンデス高地やパタゴニアの海岸部に自生する。種小名のcurvifoliaはこの葉が湾曲していることを指す。、
シシリンキウム・パタゴニクム
Sisyrinchium patagonicum
アヤメ科

丈は20㎝ほどの矮小なアヤメ。草原状で、乾いた土地に咲く。南アフリカでもこの種の仲間のアヤメを多く見る。
 
 ビオラ・マクランタ
 Viola maculata
 スミレ科

アンデス山脈とパタゴニアに自生する。
原住民が伝統医療で利用する。
   
エンボトリウム・コッキネキウム
Embothrium coccineum
(Chilean firetree/firebush)
ヤマモガシ科

 チリ南部からパタゴニアにかけて自生する。ポリネーター(送粉者)はハチドリや昆虫。筒状の花弁の奥にある蜜を細長い嘴・吻で吸うときに花粉がつく。

パタゴニア大氷原を挟んだアウストラルでもこの花を見ているので、間氷期には陸続きであったと想像される。

  ナンキョクブナ(南極山毛欅)
  Nothofagus
  ナンキョクブナ科

人の体が浮くくらい強い風が吹くパタゴニアでは高木は育たないが唯一の例外は柔軟な幹や枝を持つナンキョクブナである。
オーストラリアやニュージーランド、ニューギニアなどのオセアニアと南米南部に35種ほどが自生する。チリ・パタゴニアでは6種を見ることができる。
パタゴニアで見られる6種のうち、2種はよく似ている。見分け方は-M・アンタルクチカは葉を折ると、香りがする。

ノトファガス・アンタルクチカ
  Nothofagus antarctica

ノトファガス・プミリオ
Nothofagus pumilio

撮影:クリス・ガードナー
 
ナンキョクブナの命名者はドイツ人植物学者カール・ルートヴィヒ・ブルーメ (Carl Ludwig Blume)である。彼が「南のブナ」属(Notofagus)と命名するつもりだったが、何らかの間違いで発表文献において"t"と"o"の間に"h"が入ってしまい、意味が「偽のブナ」になってしまった(Nothoはラテン語で偽)、という逸話がある。

野生植物が豊富なパタゴニアは野生動物の宝庫でもある。なぜなら、人間が少ないからだ。種を今後起きる可能性の高い第6回目の大絶滅から守るには人類がいなくなることだが、プーチンが核の使用をちらつかせていることを考えると、人類消滅もありえない話ではなさそうだ。
 グアナコ
 Lama guanicoe
 (Guanaco) ラクダ科

北部で見たヴィクーニャより一回り大きい。
リャマは家畜されたもの。
この写真に写る柵はヒツジの放牧用のもの。今はほとんど利用されていないが、撤去されないまま残っている。大人のグアナコは飛び越えることができるが、子供は飛び越えられず、草地への移動を妨げている。このため、パタゴニアではグアナコが減り、絶滅の危惧がある。
グアナコの天敵はピューマ(Puma)。姿を見ることはできなかったが、この道路標識から「確実にいる」ことがわかる。  
ハイイロキツネ(灰色狐) 
Lycalopex griseus
(Grey Fox)

ウサギやネズミ、鳥の雛を捕食する。
ホテルの前の牧場ではマゼランガンの雛を狙っていた。
  この他、アルマジロやスカンクがいる。
交通事故で死んでいるスカンクを見たが、周囲には悪臭が漂っていた。向かってくる車に対して命をかけた最後の一発を放ったのであろう。

鳥類の種類は圧倒的に多い。
 マゼランガン
 Chloephaga picta
 (Upland Goose) 

雄は首が白いのが特徴。
雌は茶褐色で目立たない。
 
ギンイロシマアジ
Spatula versicolor
(Silver Teal)

嘴が灰青色。 
 
 カモハクチョウ(鴨白鳥)
  Coscoroba coscoroba
  (Coscoroba Swan)
和名にハクチョウと付くが、
ハクチョウ属ではない。

  クロエリハクチョウ
   Cygnus melancoryphus
(Blacknecked Swan)
こちらはハクチョウ属
 
 カオグロトキ(顔黒朱鷺)
 (別名:アンデストキ)
 Theristicus melanopis
 (Black-face Ibis)
 
草原で虫などを啄むのが見られる。
 
 ダーウィンレア
 Rhea pennata
 (Darwin's rhea)

体高1mになるが、アフリカのダチョウと比べると低く、また色も褐色。飛べないが、走ると時速60kmに達する。
雄が子育てを行うイクメン鳥である。
 コンドル
  Vultur gryphus
 (Andean condor)
 
コンドルはハゲタカVulturと同じ属であり、死肉や腐肉しかたべない(正確には足の力弱く、生きた獲物を殺すことがほぼ不可能)。このことで草原での疫病のまん延防止に貢献している。
しかし、右のような光景を見た人間はコンドルが仔羊を殺して食べていると思い込み、コンドルを駆除した。このため、絶滅寸前まで追い込まれている。
一斉に群がらず、順位の高いものから順に食べていた。 
また、飛行能力も高く、1日に300kmも飛行することがあるという。これも、広い草原で動物の死体を見つけるために生まれた能力だ。
ここでパタゴニアの旅を終え、帰国のためにサンチャゴに戻る。途中、パタゴニアの大氷原や氷河、そして3000mを超す山々をコンドルの視点で俯瞰することができた。(画像をクリックすると拡大します)
 パイネ山群  フィッツ・ロイの岩峰  氷原・アイスフィールド
氷河群  
     
 ヤンテレス火山  マカ火山  コルコバード火山
 1300kmをひと飛びし、中継地のプエルト・モントへ。
氷雪の世界からのどかな田園風景になりました。


       オソルノ火山  
   
最後までご覧いただき、ありがとうございました。 そして 長旅、お疲れ様でした。
  
ここでおまけ-----昨年に続き、今年も10月にチリへ出かけました。北部のアタカマ砂漠で数年ぶりに雨が降り、荒涼とした砂漠が緑と花に埋まったと聞いたからです。まとまり次第ご案内したいと思いますが・・・ちょこっと紹介。 


★講演会のご案内: 青いケシ研究会 最終回

2012年に発足した青いケシ研究会は、途中、代表の吉田外司夫の死亡があったものの、34回の研究会や12回の調査旅行を実施してきました。しかしながら、現池田代表の退職・転居や世話人会の高齢化により、継続が困難になり、第35回の研究会を持って解散することになりました。今回は以下の日程、内容で開催しますので、ご興味・ご関心のある方は是非ご参加ください。
  日時:2026年2月14日(土) 午後1時30分
  場所:東京大学総合研究博物館7F「ミューズホール」
      東京都文京区本郷7丁目3−1 (地図はここをクリック)入口が分かり難いので初めての方は地図を参照してください。
  講演内容:
  1. 「2025年中国チベットの青いケシ」 (講演者:劉 渝宏氏)
  2. 「ネパール(アピ及びロールワリン)及び中国雲南省の青いケシ」、「メコノプシスの分類体系part3」(講演者:松永秀和)
    今年見た初見の青いケシ5種を紹介するとともに、これまで見た青いケシ86種を画像で表示し、分類します。
  参加費:無料(ただし、懇親会参加者は1,000円)
  申込方法: 私(松永)(matsunaga*insite-r.co.jp) (*を@に変えて)へメールでご連絡ください。
本講演会の詳細についてはここをクリックしてください。


お礼と報告:チャリティ・カレンダーへのご協力、ありがとうございました。

「2026年四季の花々カレンダー」でチャリティへのご協賛を募りましたところ、多くの皆さまからご賛同を得、156名の方に505部を購入いただきました。購入者の希望に応じ下記の団体へ合計37万円を寄付いたしました。
 「あしなが育英会」-15万円
 「セーブ・ザ・チルドレン」-22万円 (寄付金控除を希望された方へは1月中旬に寄附金受領証明書が送付されます)

また、作成費としてご支援いただいた代金を使って能登半島地震や大船渡火災の被災者へカレンダー125部を送るすることができました。重ねて、お礼申し上げます。
少し残部があります。ご希望の方はここをクリックして、カレンダーのページからお申込みいただくか、私のメールアドレス (matsunaga*insite-r.co.jp) (*を@に変えて)へご連絡下さい。


あなたもできます<ロシア軍ウクライナ侵攻>抗戦と支援

2022年2月に起きたロシア軍のウクライナ侵攻からもう4年になろうとしている。軍事力に圧倒的な差がある中、ウクライナ軍は辛うじて前線を維持している。自由と民主主義を標榜してきたアメリカ合衆国だが、トランプ大統領が就任してこのかた金銭的な支援をとめた。そして、ノーベル平和賞という名誉を漁るトランプは、あろうことか停戦の代償としてウクライナに領土割譲を求めている。国を守るために多くの血を流してきたウクライナ国民には受け入れられない要求だし、国際的には「力による現状変更の承認」となる。仮にこの「無理が通る」とこれに続くのは中国(➡台湾)や北朝鮮(➡韓国)ばかりではあるまい。そしてロシアを含め、これらの3ヵ国は短い水路を隔てた日本の隣国であることを忘れてはならない。ロシアの戦費の大半は石油・ガスの輸出代金から賄われている。ロシアの戦争継続能力を削ぐにはロシアからのエネルギーを買わないことだが、日本は未だロシア(サハリン2)から原油や液化ガスを輸入している。
侵攻以来、ロシアへの抗戦として、ロシアから輸入するエネルギーに相当する電気やガスの削減に努めてきた。酷暑で冷房費がかさんだものの何とか目標を達成することができた。
★ロシア産エネルギーを使わないための年間使用量目標値 電気1,392kWh (侵攻前の2021年より7%減)ガス39㎥(同9%減)


予告:能「海人」を演じます

龍神に取られた玉を、我が子のために命をかけて取り戻した海女をシテ(主役)にした能で、女修羅ものとも言えるほどの立ち廻りの場面があります。母の情愛を現わす能として、母親の追善で上演されることが多く、私も母の十七回忌追善と自身の喜寿の記念で舞います。
 日時:2026年5月4日(祝)
 場所:国立能楽堂(千駄ヶ谷)

期日が近くなりましたら、詳しい情報をご案内します。
後シテ:龍女(月岡耕漁「能楽百番」より)



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